帰郷す


終わりが近付くほど呆気ないような気持ちになるのが年末というもので、例年と変わった事があったかと問われれば迷わずNOと言えてしまうような平坦で平凡な毎日をフラフラと千鳥足で歩んだ2014年。

年始のことはもう覚えていない。
ただ実家から一歩も外に出なかったことだけは覚えている。

今年のベストギグは間違いなく2月22日のカレンダーカフェ。
自分たちの想像を遥かに超えるライブをして、今読み返したら劇的に恥ずかしくなるような駄文をここに上げている。
そこから色々な場所で何本もライブをやらせてはもらったが、正直、あのライブを超えることは出来なかった。

そして3月には初の遠征。山形。
平さんと新宿で待ち合わせて夜行バスで向かった。寝れなかった。
山形に到着したのは早朝で、そこから何故かカラオケに行き、銀座カンカン娘を熱唱し3時間ほど寝た。
帰りは大雪で、レンタカー案を潰しておいて良かったと心底思った。

その後、淡々とライブ。

夏に向けて、俺、徐々にパンク。

11月頃、持ち直す。
が、体調を崩す。

つい先日あった今年最後のライブでは、俺はずさんな体調管理によるか細い声、平はギターを忘れ借り物、というなんともwonderwanderにしか出来ない締め括り。
普通のバンドに俺たち2人が属していたらセットでクビになっていることだろう。

振り返ってみて思うのは、本当に体たらくな2人組だなということ。
誰にというわけでもなく、もうなんだか全て申し訳がない。
もう親に謝ってもらうレベル。

でも楽しくやっている。

やはりライブをやらせてもらえる場所があるというのはデカイ。
しかも俺たちみたいなザ・体タラクにノルマを掛けることなくライブをして沢山の人に聴いてもらいなさい、と優しく声を掛けてくれる人達の存在はドデカ。

続けていくことが必ずしも素晴らしいことだと思っていない俺が、今だに辞めないで鼻息フンフン言わせながら歌っていられるのは、そういう人達のおかげなのだと思う。

そして、今年のwonderwanderを語る上で忘れてはならないのが吉岡という男。
彼は今年からドラムで俺たちをサポートしてくれている。
初めてスタジオで合わせた時は曲を全然覚えてきておらず、ドラムが上手いのかどうかも分からないような状態で初めてのスタジオを終えた。
2回目もこんな感じだったらとりあえず右耳を引き千切ってやろうと思っていたのだが、そこは流石というかなんというか、一曲もまともに叩けなかった彼がたったの1週間で全曲完璧にしてきた。
最初こそそんな出会いだったが、終わってみれば俺含めた3人の中では吉岡くんが一番安定したクオリティーをフロアにお届け出来ていたんじゃないかと。
彼のリズムに引っ張られて、最悪なライブがある程度の水準まで達したこともある。
何より彼は嘘がない。
テンションが上がらない時は、そんな顔で叩くし、逆に上がった時はそんな顔をする。
その差は眉2ミリくらいのものだが、なんとなくそれが伝わる。
考え方として、いつだって楽しそうにフルテンでやってます!みたいな姿を見せることができなければプロ失格、というような風潮も分かるし、それが出来なければ客だって付かない。
そのシーンにもよると思うけど。
だからそれはそれで間違っていないし、エンターテインメントとして考えたら寧ろそちらの方が正解だろう。
ただ、俺はつまらない日も愛想笑いで乗り切れるプレイヤーよりも、フロアに伝わってしまうくらい納得いかない顔をしている奴の方が好きだ。
本当にwonderwanderで叩いてくれて、吉岡くんには心から感謝している。

思い起こせば俺たちは、あれは嫌だこれは嫌だと、拘りなのか、プライドなのか、はたまた只のワガママか、バンドとしてやった方がいいような事も自分達が気に入らなければやらなかった。

周囲からは、穏やかで少しだけギターが弾ける人、で名を馳せる我が相方の平さんも、ああ見えてとんでもなく拘りが強い。

そんな2人組が器用にやっていけるはずがない。
だけど、この2人組じゃないとやっていけない。


今年は帰郷にちょっとだけ手間を掛けたくなって、直通には乗らずに赤羽で乗り換えている。
赤羽駅のホームは寒くて少しだけ後悔をしている。
いや、大分している。

最後までこんなんだ。

いつまで経っても不燃ゴミのような俺だが、皆様、来年も宜しく。